2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

蛸焼奇譚

地下鉄は今日も混雑していた。 小和田遥子は人と人の間からどうにかこうにかホームに降り立つ時、生きている実感を得るのだった。 何故だろうか。 「産まれたっ」という感じがする。 じゃあその瞬間以外の時間は死んでいるのだろうか。 そうです。死んでいる…

刄魚(ニンギョ)

受験生a村は入試会場までの道を引き返していた。 家を出て最寄りの駅に着き、改札を通ったところで嫌な予感がした。鞄の中を一度確認してみるとやはりだ。受験票が無い。 冷や汗で一気に全身が濡れる。その瞬間頭を回転させ受験票の在処を思い返す。 どこで…