破局報道

〈山之手ジョルジュ・デ覇魔子、北大路菜菜菜肩幅男破局か!?〉

交際中と報じられていた人気アイドルグループ「馬肉御肉GIRLS」の中心メンバー山之手ジョルジュ・デ覇魔子さんと棒高跳び世界チャンピオン北大路菜菜菜肩幅男さんが今月15日に破局していたと週刊実際が報じた。週刊実際によると山之手ジョルジュ・デ覇魔子(以下・覇魔子)さんは先日出演したトーク番組「キミは外反母趾か⁉︎」で「どこまで高いところまで跳べるかが男性の価値」などと独特の男性観を語ったばかり。しかし一方の北大路菜菜菜肩幅男(以下・肩幅男)さんの今シーズンの成績は127.46メートル。昨シーズンよりも15.87メートルも記録を落とす結果となり、肩幅男さんの跳躍力の低下が今回の破局の原因なのではないかと言われている。

本誌が覇魔子さんの所属事務所に電話取材をしたところ、名物社長のジェニファー・目鼻義之氏は「パニックだ。ひたすらにパニックだ」と困惑した様子で答えた。そして「あくまで本人たちの問題。こちらには今のところ何の報告も無いし、事務所として答えられることは申し訳ないが何も無い」と続けた。

破局報道を受け、SNS上では「ジョルジュ・デは会見を開くべき」「デ覇魔子はアイドルとして失格」「菜菜菜菜は棒高跳びに専念するべき」「山デ覇ちゃんを振り回す棒高跳び男許せ無い」など両者に対する厳しい意見が相次ぐ一方、「山之手ジョも北大路菜も大人同士なのだから本人たちの好きにすればいい」「Yジョ覇が落ち込んでいないか心配」「N幅男には失恋も棒で跳び越えていって欲しい」等の励ましの声も上がっている。その他にも「ジェ鼻ーさんの手腕でなんとかまとめて欲しい」など周辺の人物にも注目が集まるなど大きな盛り上がりを見せている。

急上昇ワードにも「破局」「覇魔ロス」「菜ロス」「デロス」「棒ロス」「鼻ロス」「LA」がランクインするなど本来の枠を越えて影響をもたらしている。

 

「デ覇魔ちゃんは結婚して馬肉御肉GIRLSは卒業しようと真剣に考えていたようです。そもそもは山口百恵さんのように早くに家庭に入りたい、と言っていたのですが、N肩幅さんの不甲斐ない成績に愛想を尽かしてしまったみたいですね」(芸能関係者)

「北大路Kはジョ覇子ちゃんの期待に相当プレッシャーを感じているように見えました。今年こそ本当の意味でジャンプしたい、とことあるごとに口にしていましたね」(高跳び関係者)

 

実際肩幅男さんの出場する大会の会場では肩幅男さんを応援する覇魔子さんの姿が頻繁に見られたが、今年の秋頃から覇魔子さんは会場に姿を見せなくなったという。

 

「ジュ・デ覇は最近アメリカ代表のマイケル・スティーブンソン・ソンソソンにすっかり熱を入れていて、アメリカに引っ越そうかなーと本気で言っていたくらいなんです」(テレビ関係者)

「肩肩肩幅は最近しきりにソンソソンだけには負けられないと言ってライバル心むき出しでした。単なる競技の中の問題だけでは無いように見えましたね」(十種競技関係者)

 

この破局騒動の行方も結局は棒さばき次第ということか。

 

※ゴシップエイト2015年12月17・24日号

犬にまさぐられ

明け方の駅前通りをうろついていたら、誰もいない道を街灯に照らされながら野良犬が歩いていた。その犬は野良犬にしては妙に高級そうで、品の良いベージュ色の毛が夜露に濡れて毛羽立っていた。

ワンツースリーフォー!

犬が近づいてきた。3メートル、2メートル、1メートル、来た来た来た来た!

犬が私の身をよじ登ってくる!一歩二歩三歩!顔ベロベロッ!腹部ガリッ、膝グリグリッ!そう、つまりこれは「まさぐられ」ている…!


【まさぐ•る】〔〔ま〕は接辞〕〔それで気を紛らすように〕いじりまわす。「母親の乳房をー赤子」[表記]「〈弄る〉」とも書く。


いやこれはまさぐられるというよりも、励まされていると言った方が正しいかもしれない


【はげま•す】気持ちの面で負けないように精神面を全力で後押しすること。「頑張れ」とか「負けないで」「最後まで走り抜けて」などと声を掛けること。


心の中で犬に「励ましてくれてありがとう」と言った。そして野良犬は心の中で「ワンワン」と言ったが、それは私には伝わって来なかった。私は心の中でジャーキーを与えたが、犬は心の中では魚しか食わなかったので食べはしなかったが、私にはそれが伝わって来なかったので、心の中で野良犬に心の中で餌を恵んだことを満足気に感じていた。

しかしまだ私は明け方の駅前通りで野良犬にまさぐられている、もとい励まされていたのだった。

もう少しで通勤や通学の為に人が現れるだろう。こんなところを観られたら「ああ、あの人は犬と社交ダンスの大会に出るんだな」と思われる。それは嫌だ。それだけは避けたい。急ハンドルで避けていきたい。避けた先に歩行者が歩いていたとしても避けたい。もはや避けたくないレベルで避けたいのであった。

そうこうしてたら昼の3時になっていた。私はまだまさぐられていた。

この間色々なことがあった。まずスカウトマンが来た。ペアで社交ダンスのコンテストに出場しませんか、とオファーを受け野良犬が承諾したので来月、長崎へ遠征に行く事になった。そして通報を受けた愛護団体が現れ注意勧告を受け、その後カーディーラーが来て新型ハイブリッド車の購入を検討させられ、鎧塚シェフが現れ新作スイーツの試食をさせられ、感想を求められ、5段階で評価をさせられ、星4つをつけて満足な気持ちで帰らせ、水の研究員が現れ、今年度のろ過技術についての研究の総括を聞かされ、乳牛が現れ、乳を絞らされ、その乳をめちゃめちゃに振ってバターを作らされ、次いで野良犬がそのバターをベロベロに舐め、ついでに私の顔も舐め、やって来る歩行者の事も次々と舐め、アスファルトを舐め、永田町を舐め、アメリカを舐め、チュッパチャプスを舐め、切手を舐め、清水を舐め、兄を舐め、実家の柱を舐め、兄の嫁を舐め、明日の昼の会議を舐め、ホテルニューオオタニを舐め、折角の親切を舐め、走行する大型トラックを真正面から舐め、自分を舐め、舐められながら舐め、舐められるのを嫌がりながら舐め、舐めを舐め、これからも一生舐め続けて行こうという決意を舐め、もう舐め終わるな、という予感を舐め、最後に惜しむように私の顔を一度舐めて、まさぐるのを止めた。野良犬は最後に握手を求めてきて来月の長崎遠征頑張ろう、と心の中で言って野良の穴に戻って行った。

私は夕方から友人と会う用事があったので速やかに家に帰った。

『週刊少年ヤングオールドのテーマ』

作詞:寓猪木パー

作曲:雀見本

 

日曜日は特マルだ

老いも若きも酒屋へGO A GO GO

ヤングだ あヤングだ あヤングだヤングだヤングだオールド

泣く子も黙る週刊誌 夏を制する週刊少年

ビーチだ 渚だ オールドだ

 

(輝く 木々 色づく 秋

オレンジ オレンジ 色が オレンジ

笑う中年 前歯 無い)

 

土曜日に駆け込め もはや遅いことは無い

日曜日が待て無い なら日曜日を待つな

土曜日に駆け込め 早すぎることは無い

土曜日に駆け込め こめ こめ こめ

夏の子供達よ

YRH99選抜総選挙

第15位  春村キヨ 2486俵

 

第14位 中野クワ 3832俵

 

第13位 森岡ユメ 6759俵

 

第12位 神宮寺ノリヱ 8806俵

 

第11位 和田ヨシ 10002俵

 

第10位 おはつ 12128俵

 

第9位 向坂アタック 18062俵

 

第8位 保井節子 20306俵

 

第7位 古谷万年堂 21062俵

 

第6位 大和田ホリ 30601俵

 

第5位 大和田フリ 48602俵

 

第4位 曙キヨミ 50023俵

 

第3位 夕張春江卿 51006俵

 

第2位 大和田ヘリ 80204俵

 

第1位 カロリーナ・ワインハウス 91204俵

 

集計:YRH(有料老人ホーム)99運営委員会

 

猫のテーマ

猫 猫が歩くよ

(ニャー ニャー ニャー)

嗚呼 猫が歌うよ

(ニャー ニャー ニャー)

猫に会うため 隣の町まで

いつもいつでも猫は鳴く(猫は鳴く)

勝手気ままに猫は寝る(猫は寝る)

猫(犬) 

猫(人)

猫(獅子)

猫は心の箸置きさ

猫は未来の国会なのさ

ニャー ニャー ビバ猫

ニャー ニャー ビバ人

私は猫を支持するよ

ニャー ニャー

私は猫に投票するよ

ニャー ニャー言ってる間に

世界は移り変わってるのさ



作詞:チンチラ吾郎

作曲:雑種幸雄

編曲:西マンチカン佳代子


擬音囃子

部屋で定期的にキッチンのシンクの方から聞こえてくる擬音

「ボコンッ」

 

テレビのリモコンの柔らかいボタン押す時の擬音

「ネルリッ」

 

スティックのりを塗る時の擬音

「ムノーン」

 

コードが何かに引っ掛かりカナル型イヤホンが耳から力強く抜ける時の擬音

「ドリリュッ」

 

パソコンからUSBメモリを抜き取る時の擬音

「ショコシュッ」

 

普段カッコつけてるやつが階段でこけてたじろいでる時の顔の擬音

「セブルリロッ」

 

銭湯の脱衣所で堂々としているおっさんの股間の感じの擬音

「ドマーニ」

 

急いで帰っている時の心の中の擬音

「ジョルリナーノ」

 

初めて行った場所が真っ白な曇り空だった時の現地民の顔の擬音

「フェーーーーン」

 

誤解が生じてどうにかしようとするがどうしようも無いので誤解されている方の状態に乗っかってしまう時の擬音

「デルミン

 

帰宅して部屋には誰もいないが寂しいので「ただいまー」と言う人がこの世の中にはいるんだよなーと誰もいない部屋に帰宅した時に思った時の擬音

「ピレーム」

 

 

ゲソ天

 先日うどん屋に行き、天婦羅コーナーにおいて何気ない気持ちでゲソ天を皿に乗せた。

 頼んだ大盛りのうどんを美味い美味いと言いながら食べて、先ほどのゲソ天に箸を伸ばす。ゲソ天の脚側のびらびらしているところを半分ほど口にくわえ、がぶりと噛み付いた。噛み切った、と思ったところでゲソ天を自分から離すように引っ張ると、なんとゲソ天の衣だけが取れ、ゲソの生身の脚がニュルリと姿を現したのだ。その瞬間ドミノ倒しばりの鳥肌が立った。まるで海洋恐怖小説に登場する悪魔の様なイカの脚がうねうねと目の前に現れ、私の気持ちはノーチラス号であった。食い物にあるまじきグロテスクなビジュアル。ふと振り返ると微笑を浮かべた(悪魔の様な)店主と目があった。どういうことだ。これは仕組まれていたことだったのか。やつは店の地下でグロテスクなイカを養殖しているのか。うどんの表面にイカの脚を模して気づかれない程度のボツボツをつけているのか。毎朝従業員たちに自作のイカダンス(並)を踊らせているのか。

 その時だった。店の隅の方の席で一人うどんを食べていた老婆が突然「イカおいしい!」と叫んだ。私は即座にその声のする方に顔を向けた。老婆が食べていたのはイカ天ではなくちくわ天だった。私は店の中にいるのが怖くなり、食べかけのうどんをテーブルに残したまま逃げ出すみたいに店を飛び出した。いつもより速い速度で家に帰り、隠れる様にベッドに飛び込んで毛布を被った私は気づけばガタガタと震えていた。

 そして朝日が昇り、何事もなかった風に私は次の日を過ごした。ゲソ天の様な友人とゲソ天の様な会話を交わし、ゲソ天の様な実家からの電話に出て、ゲソ天の様な夕飯を食い、ゲソ天の様なテレビをつけるとニュースではゲソやばい事件が起こり、ゲソ天の様なネットショッピングでゲソ天の様なものを購入し、ゲソ天の様なシャワーを浴びて、ゲソまし時計をセットしたら、ゲソ安心した気持ちでゲソ天ではない眠りについたのであった。

 

 

文・下祖利川天次郎